宇宙機
2020年12月05日
「はやぶさ2」電子書籍のこと
■2014年12月3日に地球を発った小惑星探査機「はやぶさ2」がまもなく6年の任務を終えて地球に帰ってきます。
もちろん初号機の様に大気圏に突入するわけではありません。軌道修整を終え、カプセルを分離、地球の影に入り地球に帰還するカプセルを撮影し、「はやぶさ2」は再び日の当たる側に出てきます。
10年前に「はやぶさ」初号機が越える事が出来なかった最後の夜、それを乗り越えて「はやぶさ2」は、次のミッションに向かうのです。
今年の冬はコミケもなく、お祝いする場も皆で集まって語り合う場もありません。余りに虚しいので過去に発行した「はやぶさ2」同人誌、『「はやぶさ2」ハードウェアメモランダム 1+2』を電子書籍化することにいたしました。
紙同人誌版から、イラストの一部カラー化、テキストの全面見直し、オマケページ追加など大工事を行いました。ただタッチダウン前に発行した本ですので、タッチダウンの実運用と一部内容が異なっており、これを全部修整すると別の本になってしまうので、本誌発行後の最新情報については注釈の追加レベルに留めています。
小惑星探査機というハードウェアを15年近く追い続けてきましたが、これでとりあえずは一区切り。初めて人工衛星を描いたときはまったく訳が分からなかった金色のキラキラも15年描き続けているとやっと自分の中でルールを作れるくらいにはなりました。
この次の国産宇宙機の地球帰還イベントは早くても10年後、10年に一度しか立ち会えない宇宙機帰還イベント、そのお供に是非ともポチってやってください。
★KADOKAWA BOOK☆WALKER
『「はやぶさ2」ハードウェアメモランダム01』
★KADOKAWA BOOK☆WALKER
『「はやぶさ2」ハードウェアメモランダム02』
・現代萌衛星図鑑第二集の「はや2」パートのみを編集したダイジェスト版もよろしくお願いします。
(7日朝まであれば、45%ポイント還元セールで実質200円)
https://bookwalker.jp/de55120bb8-b941-4f9f-a5dd-1b187d04522a/
お陰様で現代萌衛星図鑑第二集も絶版となりました。全国で1、2店舗在庫のある書店様があるようです。
2013年03月12日
2012年05月17日
「しずく」衛星強化週間
コミティアでteardropスペースにお越し頂いたみなさま、ありがとうございました。当日は会場の入りも多く、ペーパーラリーなどの企画も盛り上がったようで活気に溢れたイベントでした。私はあまりスペースを回る事面は出来ませんでしたが、ペーパー配布が多いとそれだけでも活気あるように見えて嬉しくなりますね。
■さて、唐突ですが5月18日(17日深夜)は第一期水循環変動観測衛星「しずく」の打ち上げが予定されています。衛星そのものはもとより、日本宇宙開発の悲願であった衛星商業打ち上げや、高機能化を目指して白く試験塗装されたH-IIA、A-Trainによる国際共同観測など今回の打上げは見所がたくさん。
さてらいこ.jpにて色々語っておりますので、お時間ありましたら是非みてやってください。
ではでは( ̄Д ̄)ノ
2012年01月07日
2012年、今年もよろしくお願いします
まずは昨年のComicMarket81には多くの方にお越し頂きました。あの寒い中、みなさまありがとうございました。シャッター近くに配置された事っていままであんまり無くて、寒風吹きすさぶ中、鼻からヒドラジン垂れ流しながらのイベントとなりました。新刊である金星探査機「あかつき」本は少数ですが1月中旬にCOMIC ZINさまにお願いするつもりです。その後の再版は・・・2月か5月かその辺になるとは思いますが、例によってしつこく再版は繰り返しますので、あまりオークションなどで無理なさらないようお願い致します。
■ひとつご案内があります。「はやぶさ」サウンドノベルアプリのイベントとして朗読会が開催されることになりました。詳細は公式サイトを見て頂ければと思いますが、今回は日本科学未来館様から会場をお借り出来ただけでなく、後援としてJAXAさまと『おかえり、はやぶさ(松竹配給)』 さま、株式会社リバネス さまのお力添えを頂きました。さらには今回の読み手さんは、御坂(妹)役の声優、ささきのぞみさん!ですよ( ̄Д ̄)ノ ヨッシャー! 本当にこんなに幸せで良いのでしょうか。イベント当日の内容はまだ詰めてはおりませんが、みなさまに喜んで頂けるイベントとなるよう頑張りたいです。定員を超えた場合には残念ながら抽選となってしまいますがみなさまのご参加をお待ちしております。
ノベルアプリ「はやぶさ」朗読会『宇宙探索のバトンを次世代へ』
http://kokucheese.com/event/index/24577/
■ 年末年始はコミケの後遺症でまったく使い物にならずひたすら寝ておりました。3日あたりから動けるようになったので、一度書いておきたかった第一期水循環変動観測衛星「「しずく」などを書きました。「しずく」ちゃんはすでに色んなところでカワイイ擬人化を見かけるので、もう私描かなくてもいいじゃん的な感じではありますがそれもやっぱり悔しいので今更ながら描くわけです。「しずく開眼」は打上げてAMSR2が軌道上で展開してから・・・とも思いましたが、相乗り衛星の開発遅延で打ちあげがいつになるか分からないとのこと。その間にもう少しデザインを練り込んでその時に備えたいと思います。
それではみなさま今年もよろしくお願いします。
2011年12月16日
「はやぶさ2」と来年度のお買い物
どうもご無沙汰しております。現在冬コミに向けて進撃中のためとりいそぎ用件のみ。冬コミでは「あかつき」本をだしますよ(予定)。空自F-Xのネタも少しくらい触れたいところでしたが・・・。
さて既にご存じの方も多いと思いますが、来年度予算において「はやぶさ」の後継機である「はやぶさ2」は大幅な予算削減の方向で動いているとの報道が各所でなされています。
□小惑星探査機はやぶさHP
・はやぶさ後継機に関する予算の状況について
http://www.muses-c.isas.ac.jp/j/index.html
□松浦晋也のL/D
・はやぶさ2予算の危機について
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2011/12/2-e8f0.html
かいつまんで解説をしてしまえば、
・「はやぶさ2」は予算がカットされてこのままでは2014年に打上げが出来ない。
・2014年打ちあげが出来なければ「はやぶさ2」は意味がない。
・次のチャンスは2026年。しかしその頃には関係者も技術も霧散してしまう。
・それはつまり小惑星探査ミッションそのものが日本から無くなる。
日本の衛星では予算削減の煽りを受けて打ちあげを年単位で後ろにずらされる、というのはよくある話。例えば、「あかつき」や「かぐや」、それどころか過去は「ひまわり」ですら打ちあげギリギリの予算が付いていた時代もあります。なのになぜ「はやぶさ」だけがこうして予算カットで取りざたされるかというと、2014年に打上げないと探査機が小惑星に届かず、研究そのものが続けられなくなってしまうから。
とはいえ、「ならば「はやぶさ」に増額すればいいではないか」という簡単な話でもありません。特に現在は失われて不在となった地球観測衛星「だいち」の後継機も速やかに打上げねばなりません(これだって後継衛星を予算化できていなかったのが原因なのですが・・・)。開発が走り出した「はやぶさ2」の70億円という予算は決して小さくありません。ここで使われた分、もちろん他の衛星が割を食うわけです。
ですから国民としては、まずは来年度の予算で何に”投資”すればよいか?そこから考えなければなりません。
家計簿レベルの話でも同じ事が言えますが、出ていくお金をいくら削ってもそれだけでは前へ進めません。それが分かっているから誰もが子供に高い学費をかけて進学させるのです。高校と大学で7年間、かかる費用は馬鹿になりませんがそれを無駄だという人はいません。それは「はやぶさ」の様な20年先を見据えた技術開発も同様です。特に「はやぶさ」は、今になってアメリカが数倍の予算をかけて後追いでプロジェクトを立ち上げるほどの将来性のある案件です。
30年たてば国の産業はがらりと変わってしまいます。だからこそ来るべき30年後を見据えて今のウチから種を蒔いておかなければならないのです。